幼少期の修業・魔法編1-1

探検の書

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今日は祖父と幼馴染達と修業を行ったある日の夕食後のことだった。

「ねぇ?リオ。今、大丈夫かしら?」

母は家族全員で食器類などを片付け・洗い行い終えた後に話しかけた。

「んっ?どうしたの?母ちゃん。」

「明日って友達と遊ぶ予定とかあるかしら?」

俺は他人(ひと)はこのような聞き方をするときは、大抵明日何か予定がある時だと思い、視線を上に向けて予定を確認した。

「んーっ?無いよ。それに明日って母ちゃんも休みの日だよね?どっかに連れて行ってくれるの?」

「えぇ、それなら明日アタシの実家に行ってみない?ねぇ?アンタ。」

母は洗い終えた食器類を布で拭き、食器棚に片付ける父に提案する。

「うーん、そうだなぁ。ようやく全員冒険者に復帰出来たし、リオもこの辺にはもう慣れた頃合いだし、明日からお義父さん達の所に預かって貰う為に行ってみるか。」

父は俺と同じように視線を上に向けて悩むような仕草を見せた。

「うんっ?お義父さん?って事はキース爺ちゃんとアリア婆ちゃんの事?」

俺は一瞬”お父さん”とは誰のことだろう?って思ったが直ぐに母方の祖父母の存在を思い出す。

「そう、アタシの両親さ。アタシの実家は神殿通りの所にある薬屋さ。リオは祝福以来、神殿通りを通った事はあるかしら?」

「んー?そう言えば無いなぁ。」

神殿通りは他の通りと違い活気よりも穏やかな印象のある通りである。住宅街に近い雰囲気だ。

「それじゃ、明日からは場所を覚えるついでにしばらく父さんと母さんの所に預かって貰おうね。お義母様にはアタシ達から伝えておくわ。」

「俺もミンク婆ちゃんとアラン爺ちゃんに一言言いたいんだけど良い?」

「勿論よ。それと私達の都合で勝手に決めちゃってごめんなさいね、リオ。」

「すまない、リオ。」

母と父は申し訳ない表情で俺に頭を下げ謝罪する。

「まぁ、俺もそろそろキース爺ちゃんとアリア婆ちゃんに会ってみたかったしね。丁度良かったよ。それと引越するわけじゃ無いからラート君達とも遊べるしね。」

俺はいつも明るい父や笑顔の母が顔を曇らせる表情は見たく無かったから笑顔で言った。

「いや、本当にすまんな、リオ。そう言ってくれると助かるぜ。お詫びと言っちゃアレだが、何か欲しいものとか無ぇか?リオ。」

父は右手で頭を掻きながらまだ少し困った顔でお詫びの提案をする。

「そうね、リオ、遠慮せず言っちゃいなさい。私達はEランク冒険者だから貯金もかなりあるから遠慮は無しよ。」

母はそんな父にまるで”ナイスアイディア!”って言わんばかりの自信に満ちた表情で胸を張り少し自慢げにお金持ちアピールをする。

「そうかぁ…。んじゃあ、今度家族みんなで何処かに遠出してみたいなぁ。こう…なんて言うか、馬車に乗って旅行するよりも、直接馬に乗って冒険者っぽい移動をして他の街を見てみたい!」

俺は現時点に置いて特に何か欲しいという物は無かった。前世の小説とかだと知識を得る為に”本”と言う選択を考えたが、”百聞は一見に如かず”、俺の場合本を読むより実際に体験した方が自分の身になると思った。

ちなみに本は宝石類と並ぶ高価な物である。今更感はあるが俺達が話している言語は全世界で通じる”共通語”であり文章構成、文字は日本語のひらがな・カタカナである。

また、古代語として昔は英語が使われていたが現在は衰退しその名残で魔物の名前や魔語などで使われる様になったそうだ。

「ワッハッハ!リオ、そんなんで良いのか?」

父は何か高価な物を俺に期待していたが、あまりにも子供らしかったのか笑いを堪えられず笑顔になる。

「うふふ!そうねぇ、いっその事アリスから魔物を借りるってのもアリね。」

母は悪戯する子供っぽい表情で笑いさらなる提案をする。

「えっ!?魔物って乗れるの!?是非とも乗ってみたい!」

「うふふ!そうよ。無属性の一種の契約魔法を覚えていれば魔物と直接契約して魔物使いの様に魔物に乗ることができるのよ。他には有るかしら?」

俺は特に何も考えずに感情のまま話していると、母はそんな反応が期待通りだったのか次第に笑顔が戻っていくのが分かった。

「それじゃあ!王都じゃ食べられないその地域の食べ物を食べたい!それぐらいかなぁ?」

(食い意地が張っている?それは俺にとって褒め言葉だ。だって美味しいものを食べている時が幸せなんだもの。)

「おう。近いうちに一緒に行こうな。それじゃ、今日はもう寝て明日お義父さん達に会いに行くか。おやすみ、リオ。」

「おやすみなさい、リオ。」

「おやすみ!父ちゃん、母ちゃん。」

俺は明日初めて行く祖父母宅に興奮して眠れないかと思っていたが、ベッドに横になると日中の修行の疲れがどっと感じ夢の中に意識を落とした。

俺はいつも通り早朝に起きて日課をこなし朝食や身支度を終えた俺達は家の鍵を閉め出発した。

「うしっ!んじゃ、行くか。母ちゃん、リオ。」

「先ずはお義母様の所に行ってから行きましょうね。」

「は〜いっ!」

俺達は先ず近所の祖父母宅に挨拶をしに行った。

「(ドンッドンッドンッ)母ちゃん!居るー?俺だ、アモンだ!」

父は祖父母宅の玄関を3回ノックする。

「は〜い!アモン…とアーシャちゃんとリオ君じゃない。どうしたの?こんな朝から来て。」

祖母は少し困惑気味に返事をして出てくる。

「はい、お義母様。お義父様はいらっしゃらないのですか?」

「あっくん?あっくんはもう迷宮に向かったからいないよ。」

祖母は首を左に傾けて祖父が出掛けたことを話す。

「そうですか。急ではありますが今日からしばらくアタシの実家にリオを預けようと思いまして、その報告と挨拶をしに参りました。」

「え〜。急すぎない?もっとリオ君を預かっても良いよ?リオ君はお手伝いもするし、元気に挨拶もするからこの辺りじゃアミラに続く看板っ子だから私は構わないよ。」

祖母は母が本題に入ると眉を潜めて残念そうな表情をする。

「まぁ、そう言ってくれっと俺達も嬉しいんだがな。リオもそろそろこの辺に慣れた頃合いだし、しばらくはお義父さん達の方にも慣れて欲しいんだ。」

父は右手でで頭を掻きながら視線を上にズラす。

「本音は?」

祖母は鋭い眼光でそんな父に”本音は別にあるでしょ。さっさと言いなさい。”と言わんばかりの視線を向けた。

「この前、各ポーション補充の時にお義父さん達にに”孫(リオ)にはまだ会えないのか?私達も預かってあげられるのになんで頼らないのか?”って苦言を言われちったから、頃合いからもそろそろかなぁ?って思ってさ。」

父は直ぐに諦めて素直に話し出した。

「お義母様、リオを預かって頂きありがとうございました。」

「アーシャちゃん、大丈夫よ。また預かって欲しい時はリオ君なら大歓迎だよ!」

「ミンク婆ちゃん、今日までお世話になりました。それと行ってきます。」

俺は母に笑顔で笑いかける祖母に感謝して挨拶を行う。

「行ってらっしゃい、リオ君。」

「お義父さん達も母ちゃんと同じように継続して預かって貰えるなら、同じくらいの期間を交互にやっていきたいと思るんだが….その、またお願いしても良い?」

「任せなさい!リオ君もその時はよろしくね。」

「うん!よろしくお願いします!」

俺達はキース爺とアリア婆に会いに向かった。

 

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