「ふぅーっ。食った、食った。」
俺は満腹で大満足な笑顔でお腹をさする。
「美味かったにゃ!」
ラートも俺に続き両手を上げてバンザイを行い満面の笑みで完食する。
「さてとお代だが、1人前1,500Rの半値750Rの更に半値の375R。それが5人前で1875Rだ。俺も確認していなかったが、本当にあるんだよな?」
(今になって思った事がある。そう言えば残高を確認していなかったが、本当にある…よな…?あれっ?)
「にゃっ!?そ、そう言えば残高を確認していなかったですにゃ。あるかにゃ…。」
俺は首を傾げ不安になる。そして真面目でいつも会計をするナートですら驚愕の表情を浮かべ慌てる。
「ちょっとナート君っ!?あるよね!?」
俺達はナートの反応に不安を覚え満面の笑みから表情を一変させて少し青ざめる。
「…7,8,9。あったですにゃ!!おじさん1,900Rでお願いしますにゃ!」
ナートは鉄板の横の空いている場所に財布の中身を出して一枚ずつ数えると残高は1,940Rあり、安堵のあまり大声を張り上げる。
(焦った~…。悪ノリしている場合じゃ無かったぜ、マジで。あっぶねぇ〜…。)
「おう!毎度。ほれっ、お釣りの25Rだ。今度からは買う前に残高がどれだけあるか確認するこったな。まぁ俺も先に確認するの忘れていたから商売人として失格だがな。ハッハッハ。」
「もしかして、おっちゃんは仮に俺たちが足らなかったとしても許してくれたの?」
俺は俺達が慌てる様に焦る表情もなく笑うおっちゃんに疑問を持ちつい聞いてしまった。
「いいや、勿論その時はぶん殴るな。俺も鬱憤が溜まっているしな。」
「「「ご、ごめんなさい。」」」
「「ごめんなさいにゃ。」」
俺達は元の怖い顔立ちと笑っていないおっちゃんの笑顔に恐怖を覚えた悪ノリした事を頭を下げて謝った。
「お互い次からは気を付けていこうぜ。今回はこれでチャラだ。それじゃ、今度は金が貯まったら直接店に来て買ってくれよ!またな!坊主達、嬢ちゃん達!」
おっちゃんが水に流してくれたお陰ですんなり帰る事ができ、俺たちは広場まで戻った。
「いや〜っ。最後の最後でヒヤッとしたね〜。ね?シルル姉。」
「本当、本当。アタイも残高をすっかり忘れていたよ。」
「俺もだ!アリスさんには感謝だね。間違いなくあの時に渡してくれた銀貨のおかげだね。」
俺達がおそらく今回お金が足りたのはアリスが父ちゃんよりも多くお金をくれた事だろう。多分残高からして銀貨12枚だったのだろう。
「にゃぁ。ナート、今残高どのくらいあるにゃ?」
「今ですか?えっと…65Rですにゃ。此れを5人で均等に分けると…えっと…13Rですにゃ!」
ナート君は財布の膨らみが萎んだので左手をお皿がわりにお金を置き持ち右手で数え始めた。
「13Rかぁ。結構残らなかったね。やっぱり魔物肉美味かったけどたっけぇーなー。」
「にゃあ。今度は冒険者になってお金を貯めてまた食べにいこうにゃ。」
「そうですにゃ。今度は1番高いお肉を買ってあのおじさんをびっくりさせましょうにゃ。」
「いいねー!ナート君。アタイもさんせー。」
「アタイもシルル姉にさんせ〜!」
「俺も俺も、やるー!」
俺は冒険者になってやりたい事がまた増えた。
(今度、俺達が冒険者になった時にその時で1番高いお肉を買ったらあのおっちゃんはどんな顔をするんだろう。楽しみだなぁ)
「決まりにゃ。その為にはオイラ達は強くなる必要があるにゃ。でも冒険者として何が必要にゃのか、今のオイラ達ににゃにが足らにゃいのか分かんにゃいにゃ。」
ラートの決意を感じる目と何かを覚悟した表情にナートが目を合わせて頷く。
「そこでリオ君、僕達もリオ君のお爺さんに修行をさせてもらえないか聞いてもらっても良いですかにゃ?」
ナートはそのまま振り返り俺を見て、祖父に修業を頼めないか聞いてきた。
「そうだねー。父さんも母さんもアタイらを育てる為に冒険者活動を休止してやっと復帰し始めたばかりだからさー。迷惑掛けたくないしねー。」
シルルは悲しい様な寂しい様な表情で話す。
「アタイも〜シルル姉と同じだね〜。アタイら的に一緒にいる時間も良いけどね〜。でも、やっぱりさ〜父さんも母さんも凄く我慢しているのが分かるんだよね〜。」
メルルは笑顔で話していたがその笑みに力を感じなかった。
「そうにゃ。オイラ達も一緒にいられて遊んでもらって嬉しいにゃ。でも、父ちゃんも母ちゃんも冒険に行きたそうにゃ!あと、ついでに伝説の冒険者に会って直接修業を付けてもらいたいにゃ!」
「「ラート(君)めっちゃ分かるー!」」
「にゃはは、実は僕もですにゃ。」
俺達はあのシリアスな雰囲気はなんだったのかと思う程笑顔になる。
「うん、分かった。今度会った時にアラン爺ちゃんに聞いてみるよ。あと俺もまだ会ったことが無いけどもう1人の爺ちゃんも凄い人みたいだよ。母ちゃんが言うには天才魔法使いって言っていたけどその人にも一応修業を付けてもらえそうなら聞いてみる?」
「「お願いする(します)にゃ」」
「「お願い、リオ(君)」」
「分かった。聞いてみるけど、一応みんなの家族にも言っておいてね。俺も爺ちゃんに修業を付けてもらう前に両親から許可を貰えって言われたから、多分言われると思うよ。よしっ難しい話は終わり!夕食前の鐘が鳴るまで遊ぼうぜ!みんな!」
「「「「さんせー((にゃ))!!」」」」
俺達はこの後俺たちは広場で遊んだ。当初魔物ごっこと騎士と盗賊のどっちを先にやるかの喧嘩は起きず、最初は騎士と盗賊を行った。夕食前の鐘が鳴るのをきっかけに急いでベルティングに立ち寄り置いてもらったパンを受け取り帰宅した。
俺達は残高の65Rは各自10Rずつ貰い残りの15Rを細かく分散出来なかったので魔物肉を値切る事ができた事と年少という事で俺に10R、メルルちゃんに5Rで分けて家に帰宅した。勿論俺の胃袋じゃレゾンパンを食べた後に夕飯が食べれないと思ったのでレゾンパンは父ちゃんと母ちゃんと分けて食べた。
コメント