幼馴染と交流1-1

探検の書

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祖父と修業と森林への探検から一月が経ったヒツジのツキ・1・ユウキのヒのことだった。

今日は、ウマのヒに王都イシュテリアに引っ越してきた両親の団員達の子供である獣人種猫人族の双子の兄ラートと弟ナートから遊びのお誘いを受けた。

「リーオ君っ! あーそぼうにゃっ!」

自室のベットでゴロゴロしながら頭の中で今日の予定を考えていると外からラートの元気な声が聞こえる。

ラートとナートは猫人族の中でも赤猫村出身の両親を持つ為に2人とも赤い髪の猫人だ。年齢も俺より2つ年上で他の子供も含めても最年長でリーダー気質だ。

「ちょっと、ラート! 家の前で騒いだら、リオ君のお父さんとお母さんに迷惑にゃ!」

ラートを叱る為にナートも負けじと大声で怒鳴ると、直ぐに”コンッコンッコンッ”とノックを3回行う。

「こんにちはにゃっ! 僕達は、ストールとラナティナの子のラートとナートですにゃ! フィデリオ君は居ますかにゃ!」

「は〜い! やぁ! ラート君とナート君、今日はどうしたの?」

「リオ君! 一緒に遊ぼうにゃっ!」

兄ラートは7歳にしては割と身体が高い方でがっしりしている。髪型はベリーショートの刈り上げをしていない感じで、服装は上が赤の半袖、下が黄色のハーフパンツの糸目だ。

「リオ君、僕達と遊びませんかにゃ?」

弟ナートは兄と比べれば細身だがその分、少しだけ兄より背が高いひょろ長体型だ。髪型は後頭部で髪を少し結んでいる感じで、服装は上が青の半袖、下が黒のハーフパンツの一重だ。

後頭部を両手で組みながら満面の笑みのラートと少し落ち着きがあるけど笑みを浮かべているナートが同時に遊びに誘う。

「俺も遊びに混ぜてくれるの? 父ちゃん! 母ちゃん! ラート君とナート君と遊んでくるねーっ!」

俺は今日は特に予定が未定の為に2人が遊びに誘ってくれた事に喜びを感じた。

「おーうっ! 遊ぶのは良いが、リオ! ちょっと待ってろ!」

俺にその場で静止する様に言うと、父は”ガタガタッ”と足音を立てながら、小袋を持って玄関に現れた。

「んっ? どうしたの? 父ちゃん」

「あっ!? アモンオジちゃん、こんちにゃ!」

「ラートっ! アモンおじさん、こんにちはにゃ」

“こんにちは”を略して挨拶するラートに怒りながらナート注意する。

「んもう! ナートはうるさいにゃ! 静かにしないとみんなの迷惑にゃ」

ラートはまるで玄関前での意趣返しと言わんばかりに両手で両耳を押さえ困った奴を見る表情でナートを注意する

「ラート!」

まるで”お前だけには言われたくねぇ!” って言わんばかりに顔を真っ赤にして更に怒鳴るナート。

「(くっくっく……最早、双子のコントだ。真逆の性格なのに息ピッタリだから見ていて面白い。まだ知り合って間もない仲だけど見ていて飽きないなあ。それに、父ちゃんも爆笑しているし、このままじゃ話が進まないから俺が話を割るか)」

「まぁまぁ、ナート君もラート君も一旦落ち着こうよ。それで、その小袋はどうしたの?」

「ワッハッハ! 元気があるのは良い証拠だ。それでラート君、ナート君。ガルダとアリスの所の娘達も誘うんだろ?」

ガルダとアリスは両親の団員の事で、6歳の姉シルルと5歳の妹メルルの両親のことだ。

「誘うにゃっ!」

「誘いますにゃ」

「(シルルちゃんとメルルちゃんも誘うのか……まぁ、当然か。逆に誘わなかったらあの2人……根に持つからなぁ)」

「それじゃ、ほれっ! これを持って行け」

父はナートに向かって”ジャラジャラ”と音がする小袋を投げる。

「うんっ? アモンおじさん、これは何かにゃ?」

俺は受け取ったナートの掌の小袋から金属が擦れる音が聞こえた気がした。

「今日の駄賃だ。あと少しすれば、昼の鐘が鳴るだろ? 昼飯を食うために一度家に帰ってまた遊ぶと面倒だ。これでみんなと一緒何か食べてきな」

俺達は3人は小袋を開け覗くと銅貨と銀貨が数枚ずつ入っているのが分かった。

「アモンオジちゃん、ありがとにゃっ!」

「アモンおじさん、ありがとうございますにゃ」

「父ちゃん! ありがとね」

「1,000R(ロブ)入っているから好きに使って良いぞ。余ったら分は、お前らにあげるから均等にみんなで分けとけ。リオ、今日は沢山遊んで来い」

「(1,000Rって事は1万円位か……5人を予定して……食べるから1人200R=2,000円は食べられる! うへへ……今日は何食べよっかなぁ)」

「良いのっ!? やったにゃっ!」

ラートは両手をバンザーイして飛び跳ねて喜ぶ。

「アモンおじさん、ありがとうございますにゃ! それじゃ、リオ君、シルルちゃんとメルルちゃんを誘いに行こうにゃ」

ナートも心なしかウキウキしている。その為かその足取りもとても軽く見える。

「分かったよ! 父ちゃん! いってくるね」

俺はナートの誘いに頷き、父に挨拶をしてナートの元へ小走りして追いつく。

「ちょっ! ナート、兄を置いて行くなにゃっ! アモンオジちゃん、駄賃、ありがとにゃ! バイバイにゃ!」

ラートは1人だけ置いていかれる。そんな弟の雑な対応に驚きながらも父に挨拶を行い走ってきた。

「おうっ! 気をつけて遊んで来いよ!」

俺達は後ろから父の大きな声を聴きながらシルルとメルルの家に向かった。

彼女らの家までと言うか俺達の家は近所である。俺達は王城から正門までを繋ぐ”凱旋(がいせん)通り”と王城から左門までを繋ぐ”迷宮通り”の間に位置している。

王城に近い所を中央地区と言い土地は高いが番兵所が近いので治安が良い。

「ラート君、ナート君。今日は、シルルちゃんとメルルちゃん居るかなぁ?」

「どうだろうにゃ。でも、みんなで遊びたいにゃ」

「シルルちゃんもメルルちゃんも可愛いから居るといいにゃ……リオ君とナートもそう思うよにゃ?」

「確かにそうだね。2人がいると華になるよね」

ラートに言われた通り2人は今の段階でも十分に可愛いと俺は思った。

2人は母アリスの血を濃く受け継いだアマゾンで、血筋なのかアマゾン特有のものなのか現段階では美幼女、将来は美少女間違いなしだ。

「う、うんにゃ……シルルちゃん……可愛いにゃ……」

顔を下に俯き何処となく真っ赤なトマトの様にしているナートはシルルを褒める。

「んにゃ? ナートってシルルちゃんの事が好きなのにゃ?」

ラートはナートの表情を見て確信を突く質問を投げかける。

「んにゃっ!? にゃ、にゃにいっているにゃっ!?べ、べべ別にす、好きにゃわけにゃいにゃ!」

ナートは顔を真っ赤にし汗だくで否定する。しかし、これを見る限り好意があるのだろう。

「(言葉を噛んでいるのか言っている意味は、何となく分かるけど、何言っているかまでは聞き取れないなぁ)」

「お〜い、ナートっ! 猫人族の訛りが出ているにゃ。そんなに否定する必要無いにゃ。だって2人とも可愛いにゃ」

「そ、そうだよにゃ、ふ、2人はか、かか可愛いにゃ」

「そうにゃ。ナート、オイラはお前の恋を応援するにゃ。リオ君、この事は、オイラ達の秘密にゃ。誰にも言わないで欲しいにゃ。お願いにゃ」

ラートはいつもなら誰よりも先にナートを弄ったり、揶揄うのに今は真面目な表情で俺に頭を下げる。

「勿論だよ! ナート君、頑張ってね!」

「ありがとうにゃ。リオ君、ラートもありがとにゃ……」

ナートはしばらく顔を赤ていたが俺達はあえて深く弄らず、揶揄わずシルルとメルル家に向かった。

 

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