俺を含めた家族と幼馴染達を含めた家族の大人数がギルドに到着した。
(なるほど、この時間はガラガラって訳じゃないけどそんなに混んでいないのか。なら、朝早くは逆に混みそうだ。)
今は朝と昼の間くらいの時間帯。その為かギルド内には冒険者がほとんど居らず、受付場が割と空いていた。
まずガルダ家について紹介しよう。この家族の大黒柱であるガルダは28歳で両親パーティーの中でも最年長のクォーターシルフディである。見た目は本来、シルフディ特有の緑色の髪が有るはずなんだが、この人は坊主頭な常に頭に茶色いバンダナを巻いている少し強面な人だ。ポジションは中衛兼遊撃型のサポートをしていて、主にレンジャー的な活躍をしているそうだ。
次はガルダの奥さんのアリスだ。アリスは人間種の中でも女性のみ生まれる”アマゾン族”に分けられる25歳の女性だ。
この人は前世ではよく見慣れた黄色肌で黒髪の日本人女性みたいな人で普段着から肌の露出が多く髪の長い人ある。本人曰く一般的に苛烈な性格をしているほかのアマゾンとは違うらしく、戦闘以外では基本のんびりしている。この人もポジション的には中衛兼遊撃型のサポートで主に魔物を従えて戦うスタイルで活躍している。
そして2人の子供であるシルルとメルル姉妹は母のアリスさんに容姿が似た人間種のアマゾン族であった。シルルが姉で9歳で肩に掛かるくらいの髪の長さをしている。メルルが妹で8歳長髪のサイドテールな見た目である。そして2人ともアマゾン族特有の男勝りな性格をしている。
次はストール家について紹介しよう。この家の大黒柱であるストールは獣人種の猫人である。ストールは赤い髪が特徴で猫人族の中でもさらに細分化された赤猫村の出身で今年22歳になるパーティ最年少だ。髪もアップバンクみたいな短髪で右目の近くには切傷があり最初見た時は漫画で盗賊とか山賊とかにいそうな見た目だが、ポジション的には後衛サポートをしてデバフやバフを操り戦いを操作する付与魔導師である。
次はストールの奥さんのラナティナだ。この人はストールと幼馴染兼姉のような人らしく、同じ赤猫村の出身で26歳の女性である。赤色の長髪で髪を青いリボンで結んでいる見た目通りのんびりしていそうな女性だ。しかし、ポジション的には前衛をしていて2本の双剣を使い素早い身のこなしで敵を切り裂く戦い方をしている。
2人には2人の子供がいて今年10歳になる双子の赤髪兄弟のラートとナートである。兄のラートはツーブロックな髪型にしていてラナティナのようにマイペースでヤンチャな性格をしている。弟のナートは反対に父のようにきっちりした性格で髪型も同じ様にアップバンクの様な髪型にしたノリを理解しているストッパー役である。
冒険者ギルドの中には基本的にギルド運営と食堂、宿屋が何処でもある。但し運営の規模によって宿屋の部屋数や食事の質などが変化する。
俺たちが登録するギルドは冒険者ギルドの本部となりその規模も最大である。運営、食堂、宿屋だけではなく、修練場、商人ギルド支部、馬車場、魔物の解体場などが併設している。
俺たちは早速見習い冒険者登録を行いに両親達の馴染みの受付に行く。
「よぉ!アスラン、今時間大丈夫か?」
父は右手を元気に上げると受付の男性アスランに話しかける。
「おや?アモンさん達では無いですか?えぇ、今は特に用事はありませんよ。」
「本日は我々の子供らを見習い冒険者にする為に登録に参った。すまんが、よろしく頼む。」
見た目通り硬派で硬い口調のガルダがアスランに軽く頭を下げる。
「ガルダさん、そうでしたか。分かりました。では登録の為に準備致しますね。」
そう言ってアスランはギルドの奥に行き、人数分の透明な水晶の様な物を用意した。
「それではまず何方のお子様から登録しますか?」
「それでは、俺達の子供からお願い出来るかにゃ。」
赤髪の猫人族のストールがラートを後ろから押す。
「ほら、ラート、ナート、登録しなさいにゃ。」
逆にその妻のラナティナはナートを後ろから押す。
「ストールとラナティナの子のラートっすにゃ!年は今年10歳っすにゃ!よろしくっすにゃ、アスランさん。」
兄であるラートは元気よく挨拶する。
「同じくナートと申しますにゃ。ラートは双子の兄ですにゃ。兄共々よろしくお願いしますにゃ、アスランさん。」
逆に弟であるナートは落ち着いた表情で挨拶する。
「此方こそよろしく、ラート君、ナート君。それでは此方のナイフを使って、このパーソナルボールに血を一滴垂らして欲しい。」
2人はペーパーナイフを指先に近づけてパーソナルボールと呼ばれる水晶に血を垂らした。するとパーソナルボールが透明から青色に変化したのを確認したアスランさんは次の説明をした。
「うん。それではどちらの手でも構わないから、このパーソナルボール握りしめて、”ステータス同期”と発して欲しい。」
「ステータス同期っすにゃ。」
「ステータス同期にゃ。」
今度は青色から銀色に変色するパーソナルボール。それを見たアスランさんは頷き答える。
「うん。登録は無事完了したよ。2人ともお疲れ様。あとはこのパーソナルボールを本部にあるパーソナルボックスに入れると自動的にギルド証になるからやって見てね。それでは、次は何方のお子様にしますか?」
「それではアモン、すまんがわしらの子供達から登録しても良いか?」
アスランの言葉にガルダが反応し立候補する。
「んっ?おう、いいぜ。」
「ごめんね〜。アーシャ、フィデリオ君。シルルとメルルったらラート君とナート君の登録を見てソワソワし始めちゃったみたいだからね〜。」
アリスは娘達の頭に手を置いて話す。
「母さん!そんな言い方じゃまるでアタイらがガキみたいじゃ無い!」
アリスの言葉にシルルが先に噛み付いた。
「そうだ、そうだ!アタイらはガキじゃ無いもん!」
メルルもシルルに続いて噛み付いた。
「それじゃ〜フィデリオ君に先を譲る?。」
「っぐ!」
図星を突かれたシルルは一歩足を引き呻く。
「そ、それは……。」
メルルも視線を逸らし言葉に詰まる。
「大人しく待てないなら、先を譲ってもらいなさい。シルル、メルルよ。フィデリオ君、すまないが娘達に先を譲ってくれないか?」
ガルダが膝を曲げて俺に軽く頭を下げる。
「俺は大丈夫ですよ。それに最後にやるってなんかカッケェーですしね。」
「そう言ってくれると助かるわ。ガルダ、アリス、リオもこう言っていることだし先に譲るわ。」
「すまん」
「ごめんね〜」
こうしてシルルとメルルはラートとナート同様に登録を終えた。
「お待たせしました。アモンさん、アーシャさん、フィデリオ君。」
「おう。気にすんなアスラン。」
「そうよ、ねっ?リオ」
「そうですよ。気にしないで下さい。」
俺の番が来たので俺もラートやシルル達と同様に登録を行う。もしこれがチート主人公なら他とは違う何かがあるもんだが、そんな事はなく登録は無事終了した。
(何も起きなくて良かった、良かった。逆に何か起きていた事を考えるだけで身体が震えるよ。何て説明すれば良いんだ?やっぱアニメの主人公ってスゲェや。)
こうして俺たちは確実ギルドにあるパーソナルボックスにパーソナルボールを入れて加工されたギルド証を手に入れた。
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