2-13 ギルドカード

探検の書

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俺が言葉遣いと態度が異様に悪い赤髪の門番に検査されておよそ1時間が経過した。いつも持っている割とな大きさで持ち運びに不便極まりない料理用の砂時計20分の砂が3回落ち切った。しかし、まだ依頼主が来て居ない。俺は暇がある時間を依頼主が来ない事を良い事に行列に並ぶ人や赤髪以外の門番を観察していたがそれも段々と飽きてきた。

行列の中には俺のような見習い冒険者では無く正式な冒険者っぽい大人たちが並んでいた。しかし、この1時間で来たのは4,5人で他の人の付き添いって感じだった。他の大多数は荷馬車を所持した商人で2組が貴族と思われる紋章付きの馬車だった。紋章は馬っぽい見た目に剣が描かれた物と猫っぽい見た目に杖が描かれた物だった。

(あの商人達ってなんで服装が豪華なんだろう?フィリップさんは鎧着ていたけどあっちが特殊なのかもなぁ。最初は貴族かなぁって期待したけど赤髪の門番に俺と似た様な横柄な態度で対応されて居たから多分違うだろ。赤髪の門番は紋章付きの馬車には別人位に丁寧だし、多分赤髪の門番は貴族の出身なんじゃね?)

俺は青空に浮かぶ雲が流れていくのを見ながら心の中で考察していく。

(でも、今の商人絶対貴族と繋がりがある商人だと思うよ。じゃなきゃ無駄に豪華にしないし護衛もつかないだろ。多分だけどそれが分かっていないからあのクレイドって言う門番さんに馬鹿にされ笑われたんじゃね?)

俺は考察しているといつの間にか赤髪の門番が休憩が何かで居なくなっている事に気がついた。その為に考察対象の他の門番さん達を見ていると普通に思えた。可もなく不可もなく、多少の笑顔と丁寧で落ち着いていた対応だった。

(正直この門番さんだけかなぁって思ったら他の人もビジネスライクな感じだったし、やっぱりあの赤髪が可笑しかっただけか…。)

俺は1時間以上経ちとうとうやる事なく暇になったので手持ちにあるギルドカードを調べてみようと思った。貰って2日目だけどギルドカードが実際にどう表示されているか俺自身では確認していない。何故なら確認するだけならステータス表示の方が便利で早く、何より既に慣れているためだ。

「取り敢えず、如何見るのかなぁ?赤髪は何も喋っていなかったし、ステータス表示みたいに心の中で表示って言うのかなあ?」

(表示!んっ?出ないぞ…。もしかして、ギルドカード表示!あっ。出た。どれどれ。)

[名前]フィデリオ
[年齢]8歳
[種族]妖精種 クォーターノムルス
[強度]4/100(12/40)
[職業](表示選択が可能)
[技能](表示選択が可能)
[番号](9508625714062305-1)

「あれ?力量は?表示選択が可能?あと[番号]って何だ?取り敢えず説明を見てみよう。」

(表示選択が可能)・・・ステータス表示とは違い職業並びに技能は個人が選択した物のみ表示される。一党を組む際や就職の際に役に立つ。

[番号]・・・ギルドカードの個人番号。(数字)はランダムに設定される。ギルドカード再発行時や銀行の口座番号などに使用する。本人の任意でステータスにも表示が可能。

「あ〜、成程。ギルドカードはマイナンバーカードとキャッシュカードが合体したみたいなものか。確かにこれ一つ有れば手続き楽そうだなぁ。」

(あれっ?でも[番号]の”-1″ってなんだ?もしかして”-2″や”-3″があって、商人ギルドとかに登録すると増える仕組みかな?今度ギルドにお金を預ける時にでも聞いてみよう。まぁ今はギルドカードの編集をしよう。)

俺はギルドカードを調べた時に思った疑問を一旦横に置いてギルドカードの編集を行うことにした。

(う〜ん。多分だけどわざわざ選択が可能ってなっていて、自分で編集できるって事だからギルドカードは馬鹿正直に全部載せなくて良いと思うんだ。うん。そうなると俺は一応、妖精種だから職業・技能は魔法系統だけで良いかな?いや、[番号]に他ギルド対応していそうだから商人と鍛治、薬師系統も入れておこう。それと、祈念師っかぁ〜。今後、如何なるから未知数だから今回は入れないでおこう。)

俺は編集の際にステータス全てを表示しない様にした。本当に恐らくではあるが編集が可能と言うことは、相手に知られたくない情報は無闇矢鱈に教える必要がないと言うことだ。力量や耐性は知られた事によっては弱点になる事や反対に知られない事で強みにもなる事が考えられる。また、俺は未所持、未確認だがが仮に技能とかに窃取とか詐欺とかあったら信用問題に繋がるだろう。

(まぁ、窃取とか詐欺とかってあること自体に問題があるのだけど、諜報機関の人達とかって仕事上持っていそうだから仕方ないと言えば仕方ないと思うんだ。それで、バレたり捕まったり、家族に疑いの目で見られたりしたら報われなさすぎるし。それに俺と同い年で貧乏で毎日食うに困っている人が財布を盗むなんて良くあるって聞くしだからじゃねえかなぁ。取り敢えずこんな感じで良いや。)

[名前]フィデリオ
[年齢]8歳
[種族]妖精種 クォーターノムルス
[強度]4/100(12/40)
[職業]
「・魔法使い(土)14/20(11/280)」
「・鍛治師1/20(1/10)」「・薬師1/20(1/10)」
「・商人7/20(1/140)」
[技能]
・土魔法2/10(11/100) ・土魔耐性Ⅱ 1/10(1/120)
・魔力感知Ⅱ 2/10(30/140)・魔力操作2/10(30/10000)
・魔力放出Ⅰ 2/10(30/1000)
・目利き(鉱物)1/10(1/10)・目利き(薬草)1/10(1/10)
・投石Ⅱ3/10(1/130)
[番号](9508625714062305-1)

俺は種族が妖精種であるから基本的に魔法特化型にして表示をした。魔法はノムルスという事で土魔法だけにして耐性もそれに合わせて土魔耐性だけにした。水魔法や各種耐性は一応切り札として表示しなかった。念の為に魔法以外の攻撃手段として投石を入れているが、石を入れる入れ物を持っていないので特に関係はない。

(ギルドカードの編集も終わったので本格的にやる事が無くなったぞ。依頼人…誰だっけ?あぁ、シュトレインさんだ。たまには、こうして雲の流れを見ながらボーッとするのも良いか)

俺はギルドカードの編集を終えたが依頼主のシュトレインはまだ来ない。俺は待ち過ぎて一瞬だけ名前を忘れたけど直ぐに思い出した。この頃には依頼を受けた当初の不安や検査時のイライラが無くなり穏やかな気持ちになっていた。俺はやる事が無くなったので何度か背伸びやストレッチなど動いたが、雲の流れをボーッと眺めて待つ事にした。依頼主のシュトレインが来た時間は砂時計2回落ち切った後で有るから大体40分後だった。

 

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