家に帰った後改めて現状を考えてみた。まず俺自身のことである。祝福の後から記憶を整理してみると俺は憑依転生と言う訳ではなく、前世の記憶や人格を形成していた部分を思い出したと言う感じだった。
「(今更だけど、思い返してみれば、昔から夢で頻繁に前世の記憶を見ていたけど”夢だしなぁ”って深く考えていなかったんだよなぁ)」
その為に5歳までの記憶も勿論ある。祝福を夏にやったのは単純に引越ししていたらこの季節になっただけである。また、両親も冒険者として成功の部類に入る為かそろそろ冒険者稼業を再開する為に互いの実家あるアローゼンに引っ越し俺の面倒を見てもらおうとしていた。
「(ぶっちゃけ、俺はかなり恵まれた家庭に生まれたと思うなぁ)」
両親も冒険者として最高な部類なのか賃貸ではなく4LDK一軒家を一括購入している。それでもそれって裕福であるとは言わないだろうと思う人もいるが奴隷制度、階級制度なんかがいる中世ヨーロッパみたいな世界観なら十分に幸運の部類だろう。
種族についても飯食べた後に聞いてみた。種族は人間種、獣人種、妖精種、小人種、龍人種、悪魔種、天使種がいて種族毎に更に細分化されるみたいだ。
俺の妖精種は見た目の特徴として耳がトンガっていて人間種よりも長いのである。更に適性の高い魔法によって更に細分化される種族である。
火属性魔法に適正が高いサラマード族、水属性魔法に適正が高いウンディア族、風属性魔法に適正が高いシルフディ族、土属性魔法に適正が高いノムルス族の基本属性種。それ以外の光属性魔法に適正が高いウィプシー族、闇属性魔法に適正が高いシャディ族の上位属性種が存在している。
「(そう言えば、転生・憑依の小説でテンプレートな神様に会った事ねぇな。祝福を受けたって事は神様居るよな?まぁ、理由は知らねーし、説明ねーからどうでも良いけど、それを調べる為に世界中を旅する冒険者ってのも……ありだな)」
俺は前世で死んだ感覚も無いが、死ぬ瞬間に上手く呼吸が出来ず、とんでも無く苦しかった様な気がしていた。更に自身の覚えている記憶ではあの世に行った事も神様に会ったことも記憶には無く少しだけ残念がった。
「(まぁ、まだ子供だし、父ちゃん達の様な冒険者になるのも良いか。折角の2度目の人生だしまた人生を楽しみたいなぁ)」
俺は今後の方針を心の中で決める。この世界には前世とは違い神様は本当に実在する。だから俺は感謝の気持ちを込めて俺に祝福をくれたイシュリナ様に毎日祈ることを日課に決めた。
それはそうとしてステータスをもう一度確認してみる。
[名前]フィデリオ
[年齢]5歳
[種族]妖精種 クォーターノムルス
[強度]2
[力量]生力28魔力21筋力11速力17知力10器力10
[職業]未決定(一覧)
[技能]
[称号]異世界の転生者(非表示)、イシュリナの祝福を受けし者
「(あっ。強度が上がっている)」
ステータスの強度が1から2に上昇している事と力量が色々変化している事が直ぐに分かった。
「(そう言えば母ちゃんが飯食べたたら上がるって言っていたっけなぁ。多分強度上昇は生命を頂く、奪う、殺す等の時に上がんのかな? だから最初のうちは食事で上がってその内食事だけでは上がんなくなんのかなぁ? 力量はどんな感じで上がっているんだ? 分からん)」
俺は次に職業が気になった為に(一覧)を指で押してみる。
(一覧)魔法士 1/20(1/10)
俺は一覧には魔法士しか無いので取り敢えず押してみた。
「(それにしても”1/20(1/10)”って何だろう。職業レベルか何かかな? まぁ、その内わかる事か)」
[名前]フィデリオ
[年齢]5歳
[種族]妖精種 クォーターノムルス
[強度]2
[力量]生力28魔力21筋力11速力17知力10器力10
[職業]「・魔法士 1/20(1/10)」
[技能]・土魔法0/0(0/0)・水魔法0/0(0/0)
[称号]異世界の転生者(非表示)、イシュリナの祝福を受けし者
「(うん。変わった。技能に魔法が増えた。でも(0/0)って何だ?使えないってことかな? まぁ、俺も魔法の使い方分かんないし明日にでも母ちゃん聞くとするか)」
最後にもう寝る時間なので称号を確認する事を決めた。俺は異世界の転生者(非表示)は後にしてイシュリナの祝福を受けし者を指で押し説明を確認する。
・イシュリナの祝福を受けし者
女神イシュリナの祝福を受けた称号。全ての職業、技能が進化しやすくなる(中補正)。称号を破棄することで新たな神の祝福を受けることが出来る。ただし、2神以上の祝福を同時に得ることは出来ない。
「(神様ってイシュリナ様だけじゃ無いんだ)」
説明を見る限りイシュリナ様はこの世界の唯一神でない事が分かった。そして最後に異世界の転生者(非表示)を確認してみる。
「(それにしても[称号]”異世界の転生者”って……超地雷くせ〜なぁ……)」
・異世界の転生者(非表示)
異世界から転生した者の称号。異世界からの転移、憑依等類似の称号がある。この称号を持つ者にはボーナスで転生者ポイントを100ポイント付与される。ポイントで技能を取引可能。技能は習得難易度でポイントの取引値が違う。また、称号破棄すると祝福を受けた神の神殿に匿名で銀貨100枚寄付される。再度称号取得は類似を含めて不可。
☆転生者ボーナスポイント! 100p☆
[職業]
・スマートフォンユーザー90p・剣神70p・武神70p・賢神70p・聖神70p・死神70p・造神70p・勇者50p・魔王50p・人王50p・妖精王50p・剣聖40p・聖人40p・賢者40p・戦人40p・アイテムメーカー30p・「」100p(他一覧)
[技能]
・技能強奪100p・魔力無限90p・限界超越80p・技能模倣80p・限界突破50p・死界の魔眼50p・神眼50p・コピー&ペースト50p・鑑定眼30p・妖精眼30p・石化の魔眼30p・生命力吸収20p・不老20p・不死20p・取得経験値倍増10p・必要経験値半減10p・魔法創造10p・魔力全属性適性5p・「」100p(他一覧)
「(ほら〜! やっぱり地雷じゃんか! 何この意味わからない説明は! 絶対地雷だよ……怖すぎだよ……ボーナスポイントって何だよ……ゲームかよ。ステータスは身分証明書としての使い道しか無いのに、ポイントで技能習得したら実際の技術と差がやばすぎてステータス改竄とか疑われるだろ)」
例え話をするが、仮に前世の世界で車の免許5歳児がお金で買って法律にも認めららた上で実際に運転できたとする。しかし、実際に運転した時に安全運転が出来ない、満足に停止する判断能力がない、そもそもアクセルやブレーキ・ハンドルに届かないなどの問題が有れば誰でも偽造を疑う。つまり身の丈以上の技能が表示されていれば人からの信用を失う事に繋がると言う事だ。
「(と言うか、”スマートフォンユーザー”って職業か? 絶対に違うだろ……スマートフォンどうするんだ? 滅茶苦茶気になるんだけど……)」
俺は実際に異世界転生した俺が言う事では無いが、この称号の説明について前世の情報商材やワンクリック詐欺に近い胡散臭さしか感じられなかった。
「(しかし、何で銀貨100枚は寄付なんだろうか? ボーナスなら俺に渡してくれよ。銀貨がどれだけの価値かは分かんないけどお金はあるに越したことはないからな。まぁこの地雷称号は破棄だ。破棄しよう……)」
“異世界の転生者(非表示)を破棄します。女神イシュリナの神殿に銀貨100枚がが開始しました。”
頭の中に男とも女とも感じられる機械音の様な音声が鳴り響く。
「(びっくりした〜! 誰!? 今の!? 今、夜なんだからションベンちびっただろ。うわぁ……やらかしたわぁ……ビチャビチャだ……気持ち悪いが我慢するしかねぇ。明日、謝れば母ちゃんは許してくれるかなぁ?)」
最早俺が小便をお漏らした事はどうしようも無い事実である。俺は明日、母に謝れば許してもらえる筈だと思い、諦める様に布団を頭の上に被せる。そして最後にもう一度ステータスを確認してしっかり称号が消えているか確認する。
(ステータス)
[名前]フィデリオ
[年齢]5歳
[種族]妖精種 クォーターノムルス
[強度]2
[力量]生力28魔力21筋力11速力17知力10器力10
[職業]「・魔法士 1/20(1/10)」
[技能]・土魔法0/0(0/0)・水魔法0/0(0/0)
[称号]イシュリナの祝福を受けし者
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