母の説教と朝飯、デザートのリゴンを食べた俺は母の家事の手伝いを行い空いた時間にステータスを確認した。
(ステータス)
[名前]フィデリオ
[年齢]5歳
[種族]妖精種 クォーターノムルス
[強度]3/100
[力量]生力33魔力23筋力13速力20知力10器力10
[職業]「・魔法士 1/20 (1/10)」
(一覧)
[技能]
・土魔法0/0(0/0)・水魔法0/0(0/0)
・筋力向上Ⅰ 1/10(1/10)
[称号]イシュリナの祝福を受けし者
ステータスは強度が更に1上昇し更に技能に筋力向上Ⅰが追加された。
「(よっしゃー! しかし、今日は超頑張ったから後1上がっても良い気がするが食事だけでは上がらなくなりつつあるのかな? 早かったな食事で強度上昇することが終わるのは)」
今日は昨日出来なかった職業や称号欄以外に押すと説明が出るか確かめてみた。
俺は先ずは名前欄から順に年齢、種族を押すが反応は無かった。ここまでは何となく予想が出来ていた為に特に驚きがなく淡々と確認した。
「(問題はこっからだ。強度はRPGで言うレベルに値する。だったら反応があれば、経験値的なものが見えるはずだ。そう思い押してみると反応し経験値的なのが出てきた)
強度:3/100(0/30)
次の強度上昇まで後経験値30必要。
「(現実世界だけどゲームかよ! 経験値から見ると強度が1上昇すると経験値の上限が10ずつ上がるのかな? 次の強度上昇時に考察の必要がありそうだな)」
俺は吹き出す事を我慢して思考の海に潜る様に没頭する。
次に力量を押してみるとこうなった。
生力:体力や生命力の事。0になると心肺停止。
魔力:体内魔力”ナド”の事。0になると魔力酔い。
筋力:物理攻撃力や物理防御力の事。
速力:自身が出せる速度の事。
知力:頭の良さの事。
器力:器用さの事。
色々出てきたが文字面以上のことはあまり無かった。
「(でも、生力と魔力については良い事を知った。0にした時の不利点が事前に分かるのはとても良い事だ。気をつけよう)」
次は職業の(一覧)を押してみると新たな職業を手に入れた。
職業:(一覧)
魔法士 1/20(1/20)魔法適性がある事。
戦士1/20(1/20)筋力向上Ⅰを取得する。
「(そう言えば、職業レベルの横にある説明って最初なかったよな。もしかしてこの説明って俺が情報の確認をする事で俺の知識がステータスに反映していくのだろうか?)」
俺は右手で下顎に触れながらステータスの職業欄を見て今後の方針を考える。
「(あと、下級職がこんなに簡単に手に入るなら少しでも色々やっていきたいなぁ。それと職業は本人の適性や技能の有無で解放して職業レベルを上げて感覚を磨いていくみたいだ)」
俺は今の所、生まれつきの適性や技能の習得が新しい職業解放の条件である事が分かった事に笑みを隠せなかった。
次は技能欄を押してみる。
土魔法0/0(0/0)
水魔法0/0(0/0)
魔法:2刻みで階級の合う魔法を習得できる。・1〜2最下級・3〜4下級・5〜6中級・7〜8上級・9〜10特級
で取得可能。2刻みで知力・器力が5上昇する。
筋力向上Ⅰ 1/10(0/20):2刻みで筋力に1ずつ追加。最大5追加で上昇する。
俺は中々の情報量に笑顔を消し真面目な表情で確認した。
「(取り敢えず今日一日は魔力感知の修行に専念しつつゆっくりしていこうと思う。そう思い俺は両目を瞑り魔力に集中しようとした時に突然あの機械音が頭に響いた)」
“銀貨100枚の寄付が完全に終わりました。新たな称号を獲得しました。”
ステータスを確認している時にまるで不意打ちを狙ったかの様に突然頭の中に直接あの声が響いた。
(だ〜か〜ら! びっくりするな〜全く)
俺は突然の声に一人でビクッとすると母からおかしな奴みたいに笑われて恥ずかしがる様に顔を赤らめる。
「(あの時に寄付は終わってなかったの? って言うか何この時間差……狙ってやっているとしか思えないんだけど……はぁ〜新たな称号って何だろう。確認しよう)」
俺は笑って母を誤魔化しながらもう一度ステータスを確認する為に心の中で呟いた。
(ステータス)
[名前]フィデリオ
[年齢]5歳
[種族]妖精種 クォーターノムルス
[強度]3/100(0/30)
[力量]生力33魔力23筋力13速力20知力10器力10
[職業]「・魔法士 1/20(1/20)」
(一覧)
[技能]
・土魔法0/0(0/0)・水魔法0/0(0/0)
・筋力向上Ⅰ 1/10(0/20)・魅了耐性Ⅰ 1/10(0/10)
[称号]イシュリナの祝福を受けし者、誘惑に打ち勝つ者
「(はっ? 何これ? 新しく技能増えたんだけど……。えっ? 強制取得? マジ言ってんの? 魅了耐性Ⅰや誘惑に打ち勝つ者とは何だろう)」
俺は称号欄に新たな称号”誘惑に打ち勝つ者”が追加された事に困惑する。
魅了耐性Ⅰ 1/10(0/10):魅了系に耐える。2つ刻みで強度上昇時に知力を1つ上昇させる。最大5つ上昇。
誘惑に打ち勝つ者:異世界ボーナスポイントを使わず寄付した者に与えられる称号。魅了耐性Ⅰを取得する。
「(いやいや……マジ使えねー。5歳児になんてものを与えるんだよ。いつこの耐性は本領を発揮すんだよ。多分、最低でも10年近くは使えないだろ)」
俺はひどく落ち込みゲンナリする。
「(はぁ〜。最近はため息ばっかりだよ、こん畜生。まぁ、知力が上がるのは良いけど、もう魔力感知をやる気が削がれたわ。こうなったら、違う事をしよう。丁度母が目の前にいるし、父も食後の修練から戻ってきたみたいだからお金について聞いてみよう)」
俺は落ち込んだ気分を変える為に目の前の両親にお金について質問した。
「母ちゃん、父ちゃん。お金について教えてくれよ」
「さっきから百面相をして、今度はどうした〜リオ」
俺は如何やらポーカーフェイスが苦手な様で、全然誤魔化せていなかった。
「そうよ。いきなりお金について聞いて。何か欲しいものでも見つけたの?」
しかし、俺が唐突にお金について興味を持った事に両親は驚き心配した。また、母は朝の買い食いの時に何か欲しい物を見つけたと思った為か欲しい物を聞いてきた。
「いや、そう言うわけではないんだけどさ。リゴンってどの位の値段なのかな〜って思ってさ」
「成る程、そう言うことなのね。分かったわ。それなら教えてあげるわ」
母はそう言うと隠し戸棚から財布を取り出し机の前に数種類のお金を取り出す。
「リオ。先ずはお金の単位から教えるわ。お金は世界中共通の単位で”ロブ”って数えるのよ。お金は主に銅、銀、金、白金、黒金の順に価値を高めていき分類されるわ」
母がそう言うと父が机の上にある銅粒を手に取りこれが最小だと俺に教えた。
「リオ。これが1ロブだ。この銅粒が5粒で銅半貨と同じになる。銅半貨が2枚で1銅貨になる。大体パン1つ買おうとすると銅半貨2枚、つまり10ロブかかる。ちなみに果物な大体の価格はは14ロブ何だがリゴン1つ買うと7ロブしか掛からなかったから人気の無さが分かるだろ」
「(成る程……1ロブ=10円くらいの感じなのかな? 確かにパンが100円に対してリゴンは70円くらいは人気のなさが伺えるなと思う)」
俺はそう思い何度も咀嚼するように頷いた。そして、今度は母が父の言葉を受け継いで続きの説明を行う。
「リオ。ここからが少し面倒なんだけどね。銀貨からは銅貨と違って粒がないわ。あるのは銀半貨と銀貨の2種類ずつになるわ。銅貨ぎ5枚で銀半貨になり、銀半貨が2枚で銀貨になるわ。更に銀貨が5枚で金半貨枚になり、金半貨が2枚で金貨になるわ」
母は一旦話を区切り俺が理解する為の時間を作ってくれた。
「(つまり……銀半貨=500円で銀貨=1000円、金半貨=5000円で金貨=10,000円位か? ならあの時の寄付は10万円位で魅了耐性Ⅰを手に入れたって事か? 地雷臭漂う技能の強制取得でこれは……課金ゲームなら運営にクレームをつける案件だぞ。まぁ、ゲームじゃねぇし、クレームどうこうの問題じゃねぇか……)」
俺は自分自身で転生者ポイントを破棄したが、それで受ける恩恵の結果が、銀貨100枚相当に値するとされる魅了耐性である事に1人悪態をついた。
「(まぁ、強制取得とは言え数ある地雷と引き換えに得られたから差し引きプラス1ってところか? ヨシッ! ポジティブに考えよう。俺が自ら選んで取得した訳じゃ無いんだ。チートじゃない。それにこんなのあっても無双出来ねぇし、知力が増える要因を手に入れた、儲け儲け……。はぁ〜)」
俺は笑みを浮かべながら再度頷き母に合図を出すと、母は満足げな表情で更に説明する。
「金貨からは簡単でね。金貨1万枚で白金貨になり白金貨1万枚で黒金貨になるんだよ。あたしらは冒険者活動期に白金貨を見たことあるけど黒金貨は国家予算とかに使われているんだよ」
俺はつまり白金貨=1億円で黒金貨=1兆円クラスになると言うことを理解した。理解した俺は父と母にお礼を言って魔力感知の修行に戻る。
「母ちゃん、父ちゃん! 色々教えてくれてありがとう。勉強になったよ」
「おう。それなら良かったぜ」
父は笑顔で気にしていない様に左手を軽く上げた。
「ええ。今度から買い物時の計算はリオに任せるわ」
母は父と同じ様に笑い、まるで俺への教育の一環だと言わんばかりに嬉しそうな表情だった。
コメント